武徳とは何か(1)


武徳とは何ぞや

伯爵 徳川達孝
(熊本県図書館・武徳誌記事より抜粋)

 武徳とは文徳に対する称なるべしと雖も。
「文武問答(中江藤樹)」「武訓(貝原益軒)」「山鹿語類(山鹿素行)」以上を綜合し、又他の二三の書により、愚見を述べれば。

  • 第一 之を武士的道徳の意ともみなすべく
  • 第二 武術に伴い武器によってあらわさるる徳と認むべく
  • 第三 更に精神的修養即ち武に関する諸徳を代表する熟語とも解釈することを得べし

(以下、傍点の表記)

 武徳修養の事の、大いに戒心を加えへざるべからず所以を了すべけん。
 もしこれ「武徳」というを以て、単に武術を練り武器を使用し、威力これ発揮せば可なりとする如きことあらん乎。
 また「武徳」を以て、単に士気を鼓舞し愛国心を養成する事にありとせん乎。恐らくは理論空想の上に失して、実際に活動せざる弊あるを見るに至らん。これ我が邦人の今後に於いて大いに留意せざるべからず要点ならん。